舞城王太郎読んでないからそういうこと分かんないんだよ!読めよ!

中学校で体育の時間に村木くんが腕を折る。みんな慌ててるんだけど、村木くんは全然平気そうで、なんでか数時間後には腕が治ってる。ギャハハ!治っちゃった。そのうち遠くの方で交通事故が起きるけど、やっぱりバキバキのズタズタになってた筈の石井さんは数時間後に治ってて、車も町も何もなかったみたいに戻ってる。クラスの男子が理解し始めて、ちょっと危ないことをしたがる。ギャハハ!……段々激しくなってくる。見てみ!と大西くん達が誇らしげに言うのでみんなで窓に近寄ると海辺の化学工場が爆発する。バーン!火柱もあがる。ババーン!2回。怪我をした山本くんが帰ってきて、大西くん達は盛り上がる。腕は変な方向に曲がってるし、顔の半分くらいは血とか何とかで真っ黒で肋骨見えてるんですけど…「アレ俺らがやったんやで!」ギャハハ!

そのうちみんながどんどん派手なことをしだす。ビックリ人間解体ショーみたいになってる。血塗れ。でもすぐ治る。岡崎さんが数千本の花火を集めてきて「今から打ち上がりまーす!」と花火を抱きしめる。みんなはオォ~って感じで拍手とかしちゃったりして、ちょっと他のことしたりしてる男子達に大西くんは「ちゅーもく!注目したれよ!」と言う。

 


でも私は怖い。怪我を見るのも嫌だし、痛い思いをするのも嫌だし、誰かが傷付くのを見ているのも嫌なのだ。嫌だ嫌だ嫌だ!「でも全然痛くないし、すぐ治るんやで~」大西くんが笑う。でも嫌だ。私は怖い、それに…。

私は1人図書室に籠城して、みんなの爆破串刺し火事千切りの邪魔をする。大西くんは窓から無理矢理入って来る。「なんでや!なんで俺らの邪魔すんの!?こんな楽しいのに!」

「楽しいって馬鹿じゃないの?私は自分も誰かも傷付いてるの見たくないの!怖いの。あのさ、こんな変な世界がいつまでもずっと続くなんてよく平気で信じてられるね?一分後には全部元どおりになる世界じゃなくなっちゃうかもしれないのに、よくこんなことしてられるね?あのさ、舞城王太郎読んだ事ないの?×××読んでない?おんなじじゃん、起きてること。"数分後もこの世界がずっと続いてるとは限らない"って言ってたでしょ。ねぇ骨折とか内臓破裂とかして…もう治んなかったらどうするの?」

ギリギリギリギリ、と全然分かってくれない大西くんの腕を締め上げながら私は叫ぶ。っていうか怒っている。外ではまた爆発が起こる。

舞城王太郎読んでないからそういうこと分かんないんだよ。読めよ!」

 

 

 

……っていう夢を見た。起きてすぐこれを書いている。書き起こしは舞城先生ぽく意識したけど、内容は脚色せず登場人物の発言も殆ど夢のまま書いている。(関西弁地域の出身なので)あれ?舞城先生の作品にそんなやつあったっけ?無かったと思うんだけど……。でもなんかこういう「突然怪我とかすぐ治る世界になったけど、それが永遠に続くと思ってないのは自分だけで、でも嫌だし、みんなやめようよ!」みたいな感じの小説があったような気がするんだけど……。…?

夢の中では確かな読書体験としてあったので、まだそれを引きずっているだけかもしれない。