副詞のバラードⅡ(おもむろに)

カモミールティーをガブガブ飲む君の目はダイヤモンド 爆燃 炭素 苛烈 今もたぶん怒ってる おもむろに取り出した僕のウクレレは 行き場を失って 嗚呼 どうにもならない 黒いタピオカを噛みちぎる君の目はダイヤモンド 爆燃 炭素 苛烈 多分まだ怒ってる おも…

空よりも風を見ている

聞き慣れた音楽が虚ろな感傷を呼び寄せる まやかしの叙情に絆されて 気付けば歩き出していた 行く当てなどなく 思い出の浅い街を彷徨うばかり もうこれほど大人になったというのに 僕はまだ、春だというだけで何かを失い続けている

副詞のバラードⅠ (そういえば)

そういえば、と言うには遅すぎた 光化学スモッグについて話している時間を今すぐ消せればそういえばに間に合うかもしれないがあなたは百メートル先の霞むテールランプに夢中 やり直せないのは人間関係ばかりではない疑似餌に釣られた魚はエビに釣られた魚よ…

銀行員にはなりたくない(詩)

銀行員にはなりたくない毎日金を数えて金を貰える生活だなんて銀行員にはなりたくないだってその金は俺の金じゃない銀行員にはなりたくない為替と株の値動き以上に移ろいでいく彼女の心 ああ俺は金を数える! (時には俊敏さを持って)ああ俺は金を見つめる…

薄明前夜

瞼の奥に光る夢がさよならのように積もっていく口ずさむ歌の思い出せないフレーズを夜に溶かしたまま 歩き続けるどうにかして流れゆく時間を止めようとしていた頃もあって曖昧な未来に安心していた僕もいた今、遠く音楽が鳴り止まない涙の奥に響く雪が思い出…