2023-01-01から1年間の記事一覧

『ファミレスを享受せよ』ー自由と解放と人間性の砦

※下記では『ファミレスを享受せよ』ゲームのネタバレを含みます。ただしネタバレを甘受して読み進めた場合にはネタバレを含まないかもしれない。 ドリンクバーについて俺が語れることは少ない。 文化祭の打ち上げで行ったセブンティーンだとかいった名前のカ…

そーんなことはないデース!人生は何度でもやり直せるのでした(ズンチャッ♪ズンチャッ♪)

全然ブログを(月記録を)書いていないのは単純に生活の忙しなさに呑まれているだけだ。書こうと思った気持ちだけが残っており、下書きだけで十数件ある。アウトプットの習慣が抜け始めると、言葉の引き出しが錆びつき始めて、言語化はしんどくなる。リハビ…

『NOPE』感想

NOPE/ノープ(字幕版) ダニエル・カルーヤ Amazon あらすじがおどろおどろしい感じだったが、ホラー目的の映画じゃないと聞いて観てみた。 画面の中のアイテムの置かれ方とか、意味深な台詞とか、メタファーっぽいものはあるものの全体像や主題との相互作用…

パンに乗っ取られた抒情と手元にある5年目の傘、そして綺麗な部屋の綺麗なままの本たち

学生の頃よりもずっとずっと四季の移り変わりに鈍くなったなと思う。今はもう、私の四季は大福みたいなホイップあんぱんによって認識されている。 2008年にフジパンから発売された「大福みたいなホイップあんぱん」は白いふかふかのパンの中にホイップクリー…

くるりを聴く春と予定された喪失としての花束、思い出にならない口伝エレベータコマンド

「ばらの花」という歌をきいて、いい歌だなと思い、くるりのベストアルバムを借りて来た。私の春はそうして始まった。春にふさわしい音楽だと思う。運転するときに聞いている。車内の決して音質が良いとは言えないステレオから、街の音とエンジン音にかき消…

2023年2月のこと

チルアウトというエナドリの真逆ドリンクを買ってみたのだが、飲むタイミングが全然わからない。リラックスしたい時、すでに布団に入ってる。そんな二月だった。チルアウトはまだ冷蔵庫の中で佇んでいる。 小説 ババウ/ディーノ・ブッツァーティ いずれすべ…

2023年1月のこと

初夢で黒崎一護になる。彼の体を持ち私の意識を持ったそれは、ヨソモノというだけで流魂街でいじめられ、それを理由に尸魂界を全く救おうとせず(つまり、救おうとしなかったのは私の意思なのだが)ルキアちゃんを泣かせていた。ごめんな、主人公に向いてな…

頑張るのは風と熱に任せておく

最近はお菓子を焼くのにはまっている。 山積みのカップケーキ ぜんぶ食べた 『眠れぬ夜はケーキを焼いて』というエッセイ漫画を読んだのだ。これはタイトルの通り、生活が少し不規則な作者が、真夜中に虚無が寄り添ってきてしまったときに、ぼんやりとお菓子…

群れによる語りと鮮やかな日々『最愛の子ども』

あなたにもあるでしょう? 「俺たちって変だよな」「あたしたちって何やってんだろうね」と悦に浸りながら、自分と”仲間うち”の中でゆるゆると自他の境界線を溶かし、一方で”他の群れ”との境界線を鮮明に引いていたこと。 そして、その薄くて柔らかく心地よ…

『ループ・オブ・ザ・コード』―感想メモ

ループ・オブ・ザ・コード 作者:荻堂顕 新潮社 Amazon ★部分 ・ポスト伊藤計劃、ポストコロナ文学としてはド直球だが、それを御せるだけの手腕がある。台詞回しも展開もCOOL ・とにかく主人公の、人生で煮詰まれてきた感情の描写がうますぎる。 ・取り扱って…

カーステレオから流れる魔笛と死んだ恋

カーステレオから流れる魔笛の『復讐の炎は地獄のように我が心に燃え』を聞いて、ふと思い出す早春があった。 死んだ恋のことだ。 恋は失うでもなく破れるでもなく、死ぬことがある。 私の行っていた高校の特進クラスでは、一年と二年が三月に一泊二日の合同…