読んだり観たり、遊んだり。
- 地下鉄道/コルソン・ホワイトへッド(本)
- 砂と人類(本)
- ウイングスパン(ゲーム)
- 鳥が人類を変えた(本)
- テミスの不確かな法廷(ドラマ)
- 海に眠るダイアモンド(ドラマ)
- あとそのほか読んだもの
- まとめ
地下鉄道/コルソン・ホワイトへッド(本)
ニューヨークタイムズの21世紀のベスト小説100だかなんだかで知り、ちゃんと読もうと思って最後まで読み切ったやつ。実際に黒人奴隷の逃亡を援助する組織や人が「地下鉄道」「車掌」という隠語で呼ばれていたという史実を、本当にアメリカの地下を逃亡用の地下鉄道が走っていたら…というフィクションに昇華させた物語である。全貌の見えない地下鉄道のロマンと旅の物語は読み手を強く惹きつける一方で、逃亡を図る黒人少女の目を通して、アメリカ南部の奴隷制の様をこれでもかというほど克明に描く。
特に前半は読み進めるのがしんどいほどで、小説としては面白いものの精神的にキツくてなかなか進まなかった。でもやはり、読まなければ知らなかった時代の感情があり、自分はちゃんと読むべきだったし、読んで良かったなあと思う。薦めはしないけど、人生で読んでおいて損はない。
文学は自分が歩まなかった人生への想像力を与えてくれる(故に自分の人生に余裕のない時に味わえるものでもない)、と考えている。
ちなみに、これの前に『片喰と黄金』というアイルランド移民少女がカリフォルニアゴールドラッシュを目指す漫画を読んでいたのが、イイ感じに時代知識や想像の補助になった。片喰と黄金はそこまで重たくなく、フツーに面白いのでオススメ。片喰と黄金 - 北野詠一 / 第1話 アイルランド | コミックDAYS
砂と人類(本)
ゲームさんぽ土回で土に興味を持ち、『土と生命の46億年史』も読み、土オモシレェ〜となって読んだ本。残念ながら土オモシレェ〜ではなく、土という資源を巡り、人類が発展と破壊と殺戮を行なってきたという輝かしくも昏い文化が描かれている。コンクリート、人工ビーチ、埋め立て、掘削……「上質な土」というものはその場に恵まれた有限の資源であり、環境である。環境の破壊は自然の動植物だけでなく災害や農作物といった生活へも影響する。それゆえに利権と環境保護が対立し、法と倫理の行き届かない場所では人が死ぬ。
とはいえ決して環境保護を強く訴えている本ではなく(我々はコンクリートなしに生きてゆけない)、資源を利用することの裏側に何があるのかを描いた本だ。
私たちがSid Meier's Civilizationで、カタンで、あるいはAge of Empiresで噛み締めてきた資源というものの、本当の重さがここにある。
ウイングスパン(ゲーム)
去年くらいからボードゲームをせっせと遊んでおり、ずっと欲しかったやつを満を持して(?)買った。
なんとSwitchもsteamもスマホも全て出ているという恐ろしく大人気のゲームなのである。しかも電子版は鳴き声も聞けるのだ!
鳴き声?
ウイングスパンは、北米の鳥がカードになっており、コストやリターンをやりくりしながら生息地ボードに鳥カードをいっぱい出して点数を稼ぐゲームなのである。そしてなんとカードに全て違う鳥170羽(実在)が描かれており、それぞれのゲーム上での能力や生息地が実際の鳥の習性に従って設定されている。(さすがに能力は数種類だけだが) 例えば、渡りをする鳥はゲーム中の能力として、場に出された後でもカードを移動させることができる。ちなみにフレーバーテキストとしてその鳥の豆知識も載っている。
ゲームとしても楽しいが、鳥を愛でるゲームとしても!!!楽しいのである!!あんまり楽しくって1人の隙間時間でもやるためにスマホ版を買ってしまった。
当然のようにBGAにもある。
鳥が人類を変えた(本)
ウイングスパンで鳥ブームが来たため、鳥についてもっと知りたくなり、読んだ。人類に大きな影響を与えた鳥について、章ごとに分けてその鳥を巡る文化・政治・地理的な変化が書かれている。実際には、「人類が利益を見出した結果、多大な影響を受けてしまった鳥たち」であり、人類発展の罪深さを鑑みることができる。上述した土の本を読んでいたこともあり、グアノ(糞が上質な肥料となるため利権を巡り戦争が勃発)の話が一番印象に残った。資源が我々に輝かしい生を齎し、夥しい死を齎している。
鳥という存在の(人間にとっての)奥深さがよく分かる。鳥に興味があるが、野鳥観察がしたいわけじゃないんだよなぁという欲にちょうどいい本だった。
テミスの不確かな法廷(ドラマ)
「宙わたる教室」といいNHKは社会のマイノリティに焦点を向けつつ誠実な人間ドラマを描いた短い(重要)ドラマを作るのが上手い。ダラダラやるとしょーもない恋愛のスレ違いとかが入ってくるが、まとめるべき話数み絞り込んでいるのでテーマがブレない。
ドラマ演出すぎる部分はあるものの、ADHDというテーマと司法への問題提起という部分をうまく踏み込んで描いており、本当に良いドラマだなと思った。精神を抉られる要素もないので、おすすめ。
海に眠るダイアモンド(ドラマ)
毎話ボロボロに泣きながら見た傑作。私の中でニューシネマパラダイスと一位・二位を争っている。軍艦島、正式名称は端島を舞台とし、そこに住む人たちの人間模様と生活様相を描いたドラマ。
同脚本・演出家タッグによる『アンナチュラル』も『ラストマイル』も社会問題も扱いつつしっかり面白いドラマだったけど、『海に眠るダイヤモンド』は別格すぎる。石炭という資源を軸とした人間の物語…なのだが、そこには一人一人の人間による人生の果てしない重さがあり、場の生活史としての深度もあり、あまりにも“文学“がある。
ラストで呟かれる「世界遺産である前に、一人一人の人間が生きていた場」という想いが全話を通して愚直に描かれている。
朝ドラのような、過去の時代を舞台にしたドラマではなく、現代と交互に物語が進むおかげで、話の緩急やミステリ的な話の牽引があり、見やすい。恋愛も単に話を複雑にするためではなく人間の感情の交わりとして絶妙な塩梅で組み込まれている。脚本が上手すぎるよ!
上手すぎる脚本と文学によって、視聴によって受け取るものがとてつもなく重い。重いがゆえに情緒が物凄いドラマに持っていかれるので、情緒の強制リセットにはなる。「ストレス発散にドラマ一気見」ってこういうことかぁ〜
昔は、ドラマや映画が音楽や映像で読書より過激に情緒を揺さぶってくるのが嫌だったが、年をとってなんかオッケーむしろアリアリ〜になってきた。楽しめるものが増えて良かったですね。
あとそのほか読んだもの
箱庭の巡礼者たち(小説)
恒川光太郎という作家が、異常に構成が巧く、物語の構造や運び方で面白さも9割を作ってくる。逆に、キャラクターとか文学的な味わいには1割しかないので、構成が傑出していないと全体もぼんやりする。箱庭の〜は傑出しており、面白かった。まぁ、もうコレ本当に構造が全てなんだけど……。
構造と美文(アンソロジー小説)
さすが、美しい小説の数々。気になっていたが触れてない作家をいくつか読めて良かった。残虐なはずなのに滑稽さで描かれているファンタジーに弱いですね。
黄金仮面の王(小説)
久しぶりに自分が幻想小説が好きだったことを思い出せた。読んでるだけで愉悦至極の文、文、文!でも、文庫でこの薄さで2000円は高価すぎるよ……。
まとめ
今期は計らずしも資源を巡る人間の悲喜交々を味わう作品に触れることが多かった。悲喜という言葉では簡単に括れないような惨殺や破壊がある。もう少し資源を巡るあれこれは読んでいきたいので、次は材木かな。








