ペルソナ5スクランブル!やったぜ!
ペルソナ5が楽しすぎたので、続編と聞いてウキウキしながら買ってきた。(Switchごと買ってきた)RPGからアクションゲームへ、というジャンルの転換が不安ではあったが結果的にそれは大成功で、続編としてもファンが存分に楽しめるものであった。
折角なのでクリアレビュー、というか感想を書いていこう。
これからプレイするにあたって楽しむべき場所…つまりストーリー上のネタバレ、「これからどうなっちゃうの!?」という謎部分への言及は避ける。しかし、「作品について語る」というのは原理的にはネタバレであるという理解で読み進めていただければと思う。
- 続編という呪縛の解き方
- 多彩なモーション、つまり色んな君の横顔
- あとなんか細かいとこ(ゲームシステム編)
- ストーリー、もう一度同じテーマを描くということ
- あとなんか細かいとこ(ストーリー編)
- レベル99でラスボスに挑む虚無からの解放
- 愛の果てにあるべきものは永遠
続編という呪縛の解き方
ゲームであれアニメであれ映画であれ、素晴らしいコンテンツを楽しんだ後には誰もが口を揃えて言う。
「続編お願いします!!!」と。
しかし、この続編を求める心というのが非常に厄介で、実のところ「続き」を望んでいるわけではない。より正確に言うとこうなる。
「記憶を消してもう一回楽しみたい!」
そう、エンディングの後が見たいのではなく、もう一度同じような幸福感や満足感を得たいだけなのだ。とは言え、本編(以下、続編の元となるオリジナルを本編と呼ぶ)で絶賛された要素に変更しただけのストーリーでは満足できない。全く我儘なやつだぜ…。
その点、『ペルソナ5』は大胆にもRPGからアクションゲーム、いわゆる無双ゲームへの変更という思い切った続編の出し方をしてきた。P5で最も魅力的だったのはそのバトル周りの格好良さや爽快感だった。大丈夫なのか…?しかし、その心配はすぐに杞憂へと変わる。この「バトルシステムの一新」は、即ちこの作品の核である「潜入」という作業の一新でもあったのだ。
どういうことか?
二番煎じからの脱却である。
バトルシステムがゲーム全体に…いや、「プレイ後の喉越し」に及ぼす影響はかなり大きい。だってゲームでのプレイ作業の大半は歩くことと戦うことなんだから。「エッセンスを踏襲しつつ、真新しさを出す」という意味においてバトルシステムの一新は非常に大きな役割を果たした。前述の続編への欲望、「おんなじ事はやりたくないけど、おんなじ爽快感は味わいたいんだよなぁ」への見事な回答である。
まぁこれでペルソナ要素がおざなりになっちゃうと辛いんだけど...
ちゃんとこれはこれで楽しい!!はい、それは次で説明します。
多彩なモーション、つまり色んな君の横顔
ペルソナ召喚は可能だし、P5でのカバーアクションのような“怪盗ムーヴ”アクションも有るし、きちんと「ペルソナ5」の無双ゲームになっているのだ。多彩なコマンドアクションも楽しめる。コマンド毎のモーションも豊富で敵を蹴散らす爽快感はP5以上だ。(まぁ無双ゲームなので)
でもね、そこじゃないの。
”コマンド毎のモーションも豊富”、ここです。そうなの。
ジョーカーがめちゃくちゃかっこよく攻撃してる色んな動きが見れるのよ!!
銃撃からのナイフ連撃、ペルソナ召喚、ジャンプ、空中回避、ダッシュ、もう全部かっこいい。ずっとみてたい。ずっと見てたくてよく何もないところで素振りしていました。ジョーカーが好きすぎる。ペルソナ選択中は戦闘時間が静止するので、止まった時間の中でカメラを回転させて空中で銃を構えるジョーカーをいろんな方向から見ていた。バレットタイムみたいに。
しかもジョーカーだけじゃない。なんとP5Sでは操作キャラを切り替えられるので、怪盗団全メンバーのモーションが見られるのだ!きゃー嬉しい!
走る、立つ、隠れるだけでもそれぞれ個性が出ておりキャラ愛でゲームとしても最高である。
春ちゃんがアックス持ちながら走るの凄く良いよね。モルガナのぴょぴょぴょぴょと走る姿もカワイイ。ジャンプやカバーアクションでの膝の曲げ方や身の捻り方、重心の置き方ひとつでもそのキャラクターらしさが出ている。素晴らしい。
あとなんか細かいとこ(ゲームシステム編)
・アクション要素
P5ファン向け、ということだからかジャンプやダッシュ判定が緩くて良かったのは嬉しかった。
マリオみたいに上手いこと操作しないと崖から落ちるのは心が折れてしまうので、個人的には嬉しかったところ。とはいえ、要所でP5くらいの緊張感あるアクション要素となっており、「潜入」という雰囲気は引き続き楽しめた。
・デザイン
戦闘から通常画面へのシームレスな繋ぎなどは流石にP5本編のようにはいかなかったが、メニュー画面のかっこよさは続編の方では磨きがかかっている。この画面の動きだけで大興奮できる。
・ペルソナ合体
本編ほどの自由度はない。幅の自由度を捨てた代わりに、育成というY軸の自由度がある。入手についても物語性はないが、「ペルソナ」というシリーズのエッセンスを損なうことなく無双ゲームに組み込んだと考えると満点ではないだろうか。
ストーリー、もう一度同じテーマを描くということ
きちんと本編を踏まえての続編だな、という感じ。ダラっとした同じことの繰り返しでもなく、きちんとこのためのシナリオがあって非常に楽しめた。
特に、P5本編で欠点だった部分が「続編」という特性によって解決されている。
本編では、初期メンバーにはアホと記憶喪失しかいないので、核心に触れそうになると「難しいことはいいからまず目の前のことやろうぜ!」という惰性が多かった。しかし、今回は最初からメンバーに優等生の真がいるのでそういった展開は許されず、方針が論理的に決まっていく。加えて、前作ありきで世界観で必要な前提の説明が少なくて済むので、ストーリーの駆け出しが早くて楽しい。
メンバーについても、続編ということで最初からほぼ全キャラが集合しているため、存分にキャラクターや会話を愛でることが出来る。
プロットレベルで見ると手垢のついた話なのかもしれないが、個人的には本編よりもきちんと怪盗団の精神性を問い・答えるストーリーになっていると思った。というか「問い・答える」を一回本編でやっているのに、それを続編で同じことを視点を変えて面白く出来るのは凄いと思う。
それはきちんと「続き」という話、キャラクター達にとっての「あれからの続き」すなわち「未来と成長」を描くというエンディングまでの長い工程が非常に丁寧だからこそ光るものだ。とにかくペルソナ5...キャラクターや精神性に対する愛がきちんと引き継がれている。嬉しい。
あとなんか細かいとこ(ストーリー編)
・恋愛要素
ない。なぜなら男女8人が楽しいキャンピングカー一台で日本全国を飛び回る話なので...。そんなとこで恋愛やったら泥沼なので...。
・キャッキャ(日常)
とはいえ、ただただ仲良し青春男女8人のキャッキャした会話をずっと聞いてて楽しくないわけがない。本編以上に日常、というか夏休みなんだから毎日ワイワイやっとるわけだよ。旅するというあたりも含めて日常会話も多めで、潜入中でも会話はとても多い。みんなもう仲良しだもん。それぞれのキャラ同士の会話も楽しい。裕介と双葉もずっとイチャイチャ絡んどる。もうお前ら付き合えよ。
そうそう、そういうのを続編に期待してたの!!がここにある。
・キャッキャ(戦闘)
あと、戦闘においても他のメンバーがめちゃくちゃ褒めてくれる。スキルが当たれば「さすがだぜジョーカー!」特殊アクションを使用すれば「スカルにしては頭脳プレーじゃないか!」回避が出来れば「さすが美少女怪盗だぜ!」とプレイヤー操作キャラに対して他のメンバーがめちゃくちゃ褒めの手を入れてくれる。気持ちいい〜!プレイ体験としても爽快だが、これがきちんとキャラ毎にあるのでそれもまたキャッキャの味わいよ......。
レベル99でラスボスに挑む虚無からの解放
私はゲームが終わる時にはサブクエストやミニゲームをやりこんで、収集物は100%にしたいタイプだ。
でもラスボス前...ゲームが終わる前にそれをやると、レベル99でラスボスに挑むことになり、壮大で強健な最後の敵のはずなのに戦闘そのものが楽勝になってしまう。そして呆気なさだけがこの手に残ってしまう。強くなりすぎてしまったのだ。順当に進めて挑んでいればきっと苦戦して緊張感ある「ラストバトル」になったはずなのに…。でもでもレベル95で手に入るアレもコレもちゃんと入手して終わりたいのん…。
やり込み要素とラスボスへの虚無という二律背反がそこにはある。
しかし、P5Sではゲームを順当に進めてラスボスを“苦戦して”倒してクリアしたあとでもゲームそのものを楽しむことが出来る。「ストーリーの終了」と「ゲームの終了」の間が作り込まれているのだ。その間ではクリア後コンテンツややり込み要素をゆっくり楽しんで、満足いくまで育成することが出来る。
もちろん、やり込みに応えてくれるだけの追加の強敵が用意されている。
そしてこれらのやり込み要素を全て踏破すると2週目プレイが解禁されるという仕組みだ。
「作り込んだゲームを楽しく遊んでもらおう」という双方にとって嬉しい作りになっている。ゲームプレイへの快適さへの精神はこういったあたりにも引き継がれている。
もうATLUSのこと大好きになってきちゃったな。
愛の果てにあるべきものは永遠
もう書くことはない。
ファンの「続編やりたい~」という曖昧で複雑な欲望をきちんと分析し、そこに応えてくれる作品だった。
愛の果てにある「ずっと見ていたい/遊んでいたい」に応えてくれる。
私は楽しすぎて終わらせたくなくて、まだずるずるレベル85あたりでクリア後育成を続けている。楽しすぎてというか、ジョーカーとさよならするのが辛くて続けている。まだずっとこの世界にいたい。ジョーカーのことを見ていたい。終わりがくるまでは永遠なので、こっちの世界戦でラスボスが倒されることはなくジョーカーは未だに有象無象の敵を倒し続けている。強くなり続ける。
かっこいい。
きっとジョーカーにとっては地獄だけどこっちは天国だよ。