見てきた。
ネタバレありでの...というか何を言ってもネタバレになるという凄い状況なので、感想は全てネタバレですね。感想を書きます。
TVシリーズを全部見ていたわけではないけど、漫画は確か全部読んでる。中学のころだったかに県立図書館のビデオ閲覧ブースで『Air/まごころを君に』を観たと思う。それなりに考察の本や記事を読んだような気もするし、『序』からはリアルタイムで劇場へも足を運んだ。
世間がネタにしたり本気にするほど、エヴァというものに呪縛はないけど*1、あ~ちゃんと完結してよかったな~と非常に豊かな気持ちになりました。面白かった?うーん面白かったけど、面白いって感想が似合う映画ではなかった気がする。
今まであった全ての部分にちゃんと伏線回収をしようとしていて、ちゃんと物語の着地点を決めていて、膨大で有耶無耶になった概念のようなコンテンツに主が向き合って誠実に答えを出したというのは凄いことだと思う。
作中で語られる数多の謎設定とか計画の用語もちゃんと一覧が配られて、「ファンのみなさん、ここにちゃんと色々書いておくので各自検索したり感想を書いたりする参考にしてください」という長文考察ブログ/記事への発破があって嬉しかったな。あれはそういう意味やぞ、まだお前はブログを書いとらんのか、書け書け!
やっぱり、面白い作品をいろんな人が自分の言葉で語ってる世界は素敵よね。
ちゃんと、いろんなキャラクターの精神が時間とともに大人になっていて、そういう描写はとても良かった。精神がね、“大人”になるって部分がかつてのキャラクターを通して色々な解釈で描かれていたのが印象的でした。他人との付き合い方と自分との付き合い方の部分だよね、結局は...。
それよりも何よりも強く印象に残ったのは、これはやっぱり東日本大震災の後に描かれた、影響された作品(監督)なんだなぁというところだった。土地、社会、個人、遺族、死人、いろんなものがかなり暗喩として存在していた。更にいえば、映画としての焦点の当て方が何よりも影響を受けたと感じさせるものだった、と思う。
私は「もうさぁ明日のことだけ考えて生きていこうよ」の台詞に抉られた。この台詞の背景とシーンとしての背景と差し込まれるタイミングの全てがあまりにも一人の人間の言葉として肉がありすぎて泣いてしまった。
そうだね。
今、こうしてリアルタイムの我々はこの作品を通して現実を見てもう一度作品を見て、そこには自らの脳に宿る言語化以前の経験としてのフィルタがあって、それが作品に対する評価におそらく強く反映されることだと思う。
これが50年後、100年後だったらどうなんだろうな、と思う。
我々は知識として革命や黒死病や世界大戦の地獄を伝え聞くけども、その時代の物語に込められたものに、作者の心に気付くには知識とそこから揮発する想像力という燃焼材をこれでもかと燃やし尽くさねばならない。
結局のところ、共感というものが呼び覚ます感動は凄まじい。
そしてリアルタイム、というものの強みはそこにあるなと思った。
ちゃんと生きている間に、ちゃんと自分の感覚が生きている間に観れて良かったです。
私はリリカルなのはを専攻したんで…なのははdetonationで一度祝福に至ったんですけど、公式がコンテンツとして延命させてくるので同じく「なのはさんの人生」というものの着地点をどうしていいか分からずに、呪われています。
— Mathkish (@Rfeloa) 2021年3月11日