ミッション:8ミニッツ

想像以上に面白かった。

そろそろ過去に何度も戻って正解を見つけるために奮闘する、というストーリィは手垢に塗れたテーマかなとも思っていたけれど、これは少し毛色が違っていて面白かった

過去に戻る目的が過去を変えることじゃない事とか、どれだけ頑張っても結局は現実は現実でしかなく、起こったものは変えられないという設定なんかは珍しかった。タイムトラベルもののストーリィで必ず発生するパラレルワールド(タイムパラドクス)問題を綺麗に解決した映画だったと思う
なお、量子力学的な難しいナントカ」によってSFやっちゃう系の「ナントカ」が難しいので説明しませんスタイルの映画では、なかなか上手い具合にスルーさせていた。この勢いによってパラレルワールド問題以外のSFの設定ツッコミをスルーさせていたように思う。

半分くらいのところでやっとストーリィの全容が見えてきて、そこからさくさく終盤とハッピーエンドに繋げていく構成もすっきりとしていて見やすかった。
終わり方も無駄な謎を残さない所とか今までの規律まるで無視の強引なハッピーエンドにしないところが非常に好感を持てた。90分ちゃんと飽きずに観れた。

しかしこういう何度も過去に遡る系の話に愛がつきものなのは、ハッピーエンディングに欠かせない存在だからなのか、男が頑張る理由はやっぱ愛でショ!みたいな理由からなのか。
もはや何度も過去に遡る系の話のエンディングは最終的にキスするかしないかのどっちかなのでは。(かなり雑な結論にしました)

しかし、思うに、物語をスパイスの効いたハッピーエンドだとか寂しい甘みのあるバッドエンドにするために出てくる、ストーリィの方向性とは真逆のキャラクターをいかに上手く描くかが、1時間以上のストーリィを作るコツなのではないだろうか。
ときどき、「物語をそういう方向にもっていくための悪役(愚者)」みたいなのが出てきて、物凄くストーリィを複雑にしたり主人公の運命を絡ませたりする。けれど、そういう悪役や愚者たちが「ああ主人公のために作られたんだなー」っていう障害であることが露骨だと、映画を「監督によって作られたお話」だと観てしまって醒めてしまう。
うーん、私は最終的にハッピーエンドもバッドエンドも「運命によってそうなった」というエンディングを感じたいわけで、物語の落としどころに落ちたいわけではないのだ…。

というわけで、今回のこのミッション:8ミニッツでは、それが「博士」にあたるわけだけれども、ちょくちょく落ち着きのなさとか、挙動のぎこちなさだとか、「問題のある天才」にありがちな設定を小出しにしていて上手かった。多分、そういう細かい演出がなかったらただの強引な物語の牽引者だったと思う。

最近1時間以上の映画を一人で観るのはどうにも集中力が持たなくて辛いのだけれども、90分映画はなかなか新しくて面白そうなのがないという状態だったので、丁度良い映画でした。
やっぱね、2時間もやるとね、長いよ。
90分〜120分が上手く話がまとまってる気がする。
それ以上いくとどれだけ予算かかってるかで面白さが比例してしまうよ。