[]イきるものの叫び

夜。
11時くらいに街のスクランブル交差点の端で、パフォーマンスを見た。

ユキンコ アキラ

この人の、リズムパフォーマンスというやつ。
肩からポータブルDJボックスをぶら下げて、流れるリズムに乗って踊ったり走ったりしながら、キャンパスに絵を描いていく。
Go my way!!!
叫びながらスプレーやらを使って描いてく。

呑み会帰りの若いお兄さん達が盛り上げてて
Go my way!!!
って踊りながらのソウルフルシャウト。
お兄さん達もシャウト。

凄く良かった。
上手く言えないのがもどかしい。

芸術は人の心に響く。
お気持ちBOX、と描かれた缶の中に200円落として
「ありがとう」って言われて、手を握った。

細くて、男の子にはもうない、年を重ねた皺。
温かくて、壊れ物を扱うように握手して

ああ、人間が作ってるんだ

と感じた。
好きな人と手を繋ぐときでもない。女の子の手を握るときでもない。
触れ合う感覚。
こんな事でしか人間味を感じられないというのは、少し情けなくて虚しくて愚かな話だけれど、こうやってスプレーに汚れた温かい手を握って、そうやってやっと、魂の叫びみたいなのに触れられるのかもしれない。触れていると気付くのかもしれない。
空気を震わす音も、濃い匂いを放つ油絵も。
何よりも僕らは温度によって人間を知る。生きている事を知る。

心震えた、23時。