アホみたいに暑い夏に向けたアイスクリームコントロール法

穏やかな春を蹴散らし、初夏がそこまで忍び寄ってきている。

夏と冬のどちらが好きかと聞かれれば、圧倒的に冬で(そりゃあもちろん秋と春の方がずっと魅力的だが)夏なんて暑くて虫が多いだけのビチャビチャした季節だと思っている。

しかしそんな好き嫌いに関係なく地球は公転しており、住居を移さない限りまたやってくるのだ。夏が。

とは言え、そろそろ私も夏を上手く乗り切るコツが分かってきた。

 

その一つが、美味しすぎるアイスを買わないことだ。

美味しすぎるアイスはすぐ無くなってしまう。ラムレーズン、チョコミント、ロイヤルジャスミンミルクティー、栗わらび餅、ゆずソーダ……美味しすぎるアイスは「冷たいものを食べたい」という気持ちと「美味しい甘味が食べたい」という気持ちを両方いっぺんに満たしてくれる素敵なアイテムだ。

だからこそ、暑い時にもおやつを食べたい時にもアイスを食べて、想定の2倍の速度で無くなってしまう。冷凍庫を開けて、「えっ!?あれ!?もうあと1個しか無いですけど!?」と叫んだことが何度あるだろう。私にではない、お前にだ。

美味しすぎるアイスはすぐに無くなってしまい、故に出費も嵩んでしまう。

だから夏を上手く、そう上手く乗り切るためにはーーー美味しすぎるアイスを買ってはいけない

とは言え、チューペットほどランクを下げてしまうとそこには虚しさしか残らない。

だったら水道水を冷凍庫に入れたやつにガムシロップかけてれば良いことになりませんか?

なっちゃうんだよなぁ。

この手の文脈でなっちゃう事例はあまり存在しないが、本件においてはチューペットを食べるくらいなら、水道水を冷凍庫に入れたやつにガムシロップをかけてれば良いことになるのである。わざわざ夏の暑い日に虚無と向き合う必要はない。

最中とソフトクリームが合体しているタイプのアイスを買うべきである。或いはシューアイス。

夏の暑い日に、口の中の水分をもっていかれる最中やシューを食べたいという気持ちは無い。無いが、その中に入っている冷たいアイスクリームは喉から手が出るほど欲しい。この二律背反じみた滑稽な構造こそが「微妙に食べたくないような気がするけど美味しいことは体が覚えている」という絶妙の(少ない)快感をもたらしてくれる。積極的にバリバリとモナカアイスを食べている人間はあまり知らない。恐らく腹が減っているのだろう。最中はもち米で出来ている。

 

美味しすぎるアイスを買わず、「食べたいような食べたくないようなでもあったら食べる」程度のアイスに抑えることで適切なアイスクリームコントロールが出来る。

眩しい太陽、高い青空、白い雲。アホみたいに暑い夏が今年もやってくるだろう。

自分でも気付かないうちに冷凍庫のアイスを食べ尽くしてしまい、自らの愚かさと熱気への殺意で何もかもを呪った日々。呪怨だ。(呪怨ではない) そんな悲劇を繰り返さないためにも、この夏は適切なアイスクリームコントロールで豊かな心を手に入れよう。