映画を観るのが苦手だ

映画を観るのが苦手だ。

嫌いではないのだけれど、2時間、長ければ3時間マルッと時間が拘束されると思うとゲンナリしてしまう。たまに90分映画を見るけれども、いわゆる単館系の短い映画は「めちゃくちゃ面白いやつ」を探すのが難しくて結局殆ど見ない。面白そうな映画があれば、大抵原作小説を借りてくる。映画、観たいと思う。というか映画について語りたいと思う。でも、苦手なんだよな。

ドキドキハラハラさせられる、その主導権が自分にないのも大きな理由の一つだ。

と、『トータル・リコール』を観ながら思った。トータル・リコールは、2時間弱のそこそこ古い映画で、話の前半で突然主人公が組織に追われて、逃げ隠れたり銃撃戦になったりする。ハラハラドキドキだ。そのハラハラドキドキがなんかもうかれこれ30分くらい続いている。長い!神経が疲れてきた。銃撃戦も人混みの最中で行われるので、一般人が巻き添えになりしかも主人公は死んだ一般人の死体を盾に逃げる。無辜の民が死んどる!さっきまで何も知らずに生きてて、今日は帰ったらゆっくり風呂でも入ろうかなぁ…たまには妻にケーキでも買って帰るか…とか考えていた何の罪もない一般人が、物語を派手にするためだけに死んでいる!!!ハァ!?!?

映画は、小説であれば感じる必要のなかった雑音が多過ぎる。

私は巻き込まれて突然死んでいく無辜の民に涙しているのに、画面では筋骨隆々の主人公が真相に触れて戸惑っている。映像と話はどんどん進む、なのにドキドキハラハラは終わらない。次にどうなるのかわからない、1秒は1秒以上の速度にならない。同時に流れてくる情報量が多過ぎる。

映画、何か落ち着かないんだよな。

ドキドキハラハラしたくないっていうのが映画観賞と根本的に合わない気がする。歳と共にこの傾向がどんどん強くなってきて、本当に疲れてきちゃう。途中で休む事が出来ない。小説は読む速度をコントロール出来るし、途中休憩して読んでいない時間も頭の中で話を整理出来るから良いんだけど、映画は途中で休むと忘れてしまう。話は忘れないけど、気持ちの復帰が出来ない。ゼロからの途中視聴になってしまう。ドキドキハラハラのリセットとしてはそれで良いんだけど、それはもう映画を観ている意味あるのか?映画って何?

難しい。トータル・リコールは主人公が火星に行く前に息切れしてしまった。