ゲームとか漫画とか消費するタイプの娯楽と、絵を描いたりケーキを焼いたりする創作するタイプの娯楽だと、後者の方が圧倒的にコストパフォーマンスが良いと思う。この場合のコストとは時間で、パフォーマンスは達成感なんだけど。そしてコストパフォーマンスと楽しさはまた別のものではあるんだけど......。
...ということで間をとったのが多分クラフトゲーム(サンドボックスゲーム)、マインクラフトとかテラリアなんだけど何故かこの手のゲームを「没頭するほど面白い」と感じることが出来ない。同じくクラフトゲームであるYlandsはかなり楽しかったが、これは探検や開拓が楽しかったという方が大きい。(友人と外洋に出て新大陸を目指し、拠点を作り装備を整え、地下に蔓延る獰猛な獣を倒すのはとても楽しかった)そう、クラフトゲームが苦手なのだ。実はYlandsもあらかた探索し終わって、あとはゆっくりお気に入りの家を作ったり家具を作って配置したりする段階になって、なんとなくやめてしまった。他の誰かが、綺麗な花壇や美しい街並みやおしゃれな家を建てている画像を見て、良いなと思う。作っている人に憧れるし、作りたいなと思う。思うけれども、それを自分がやることに物凄く抵抗があるのだ。そこに楽しみが見出せないであろうことが、なんとなく自分で分かっているのだ。
何故..........
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....アッ...!
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あれだ、これは。シルバニアファミリーだ......
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シルバニアファミリーで遊んでいた時の、「あれ?私はここからどうやって遊んでいけば良いんだろう?」っていう楽しいはずの行為に疑念を抱いてしまう、あの瞬間の苦さだ。シルバニアファミリー、楽しく遊んだことある?
シルバニアファミリーは難しい遊びで、赤い屋根の大きなおうちの中に、自分の持っている全ての家具を入れようとすると歪な家になってしまう。手持ちの愛らしい家族は5匹いるがベッドは6個ある。何で?実際の生活を考慮してインテリアを配置したいのに、キッチンの窓からはトイレが見えるし、ダイニングテーブルとテレビの距離が近すぎる。ベッドを5個も置く場所が無い、バスルームが広すぎるがトイレと同居させられる家具が風呂以外に無い。どうにかこうにか家具を配置して素敵な家が出来上がったときに、私の手の中で柔らかな和毛に覆われたリスたちが所在なさそうにしている。
ここから何をするんだ?何をして遊べば良いんだ?
家具の配置は終わってしまった。一人で5役のおままごと遊びが出来るほど心は練乳色をしていない。結局、配置をしたばかりの家を片付けることになるのだ。
何だ?シルバニアファミリーってどうやって遊べば良かったんだ?これで合っていたのか?最高のおうちが出来上がった瞬間の、「これで終わり」の虚しさと全然何も上手くいっていないような気がする悲しさばかりが記憶にある。
あとは給食のトレイに付属の給食メニューが全然全部のらなかった事だ。皿もコップもきちんと用意されているのに、パンとおかずと牛乳とデザートが全部のらない。お皿にパンを乗せるとあとは牛乳とデザートしかのらない。給食なのに!栄養バランスが大事なのに!!
シルバニアファミリー、全然上手く遊べなかった。
向いてなかったんだな。多分、栄養バランスを気にしたり、ダイニングテーブルとテレビの距離なんか気にしちゃいけなかったんだ。子供が上れないような細いはしごのロフトに子供部屋を作っても、良かったんだ...。
今なら分かる。Ylandsやマインクラフトで家事動線を気にして家を建ててはいけない。でも私はとても考えてしまうだろう。「ここ、この部屋を通らないと階段上れないってパーソナルスペース的にダメじゃない?」と思ってしまって何も建てられないままだっただろう。そうか、そうだ、向いてなかったんだな....。
でもちゃんと自分のことがわかっている大人になれてよかった。
数百時間遊んだ後に「ここから何をして遊べば良いんだ?」という虚しさに襲われなくて良かった。ありがとう、シルバニアファミリー。