4月のこと(下)

4月が終わる。

気付けば平成も終わるようだ。だからといって特に生活は大きく変わるわけではないし、どちらかと言えば1年ぶりに行くホテル・ランチビュッフェの方が楽しみだ。食欲が増大してきたので、ここぞとばかりにビュッフェに行くぞ。ご飯大盛り無料は春の季語だ。さすがに一人でランチビュッフェは恥ずかしいので友人を誘ったところ、「ランチビュッフェは人生だもんな!」と快諾してくれた。良い友人だと思う。「それって、つまり...ライフ イズ ビュッフェフルってこと!?」と聞くと「いやそういう意味じゃない」と返された。そういう意味ではなかった。私はこの手の空転が多い。これからもこうして空しく回り続けることだろう。(回転することで自律するのは地球も精神も同じなので)

今月は上でだいぶ書きたいことを書いたし、後半はまだ読んでいる最中の長編が多いのでかなり薄い内容になってしまった。

読書

スタートボタンを押してください (ゲームSF傑作選) (創元SF文庫)

スタートボタンを押してください (ゲームSF傑作選) (創元SF文庫)

 

ティーンズ向けでも良いくらいの読みやすさ。ゲームをテーマにしたアンソロジーで、テキストアドベンチャーFPSMMORPG...と様々なゲームが登場する。ゲーマーなら「馴染み」の感覚も楽しめるだろう。読了感も爽快で、気軽に読むには最適だ。

ゲームSFとなると、多くは「ゲームという仮想空間と現実世界の混線を描く物語」になりがちだ。(昨今の日本ラノベ界で流行の異世界転生しかり)本アンソロジーも同じだが、それぞれ最後に混ざるスパイスが効いていて、混線のバランスも良く、どれも小気味良い話となっている。SF傑作選とあるが、ジャンルとしてはSFにせざるを得ない...という程度であり、気負わずに読める。ちょっと不思議でありえない物語に魔法がなければ全てSFなのだ。

個人的には『救助よろ』『リコイル!』がおすすめ。

どちらも読み終えてしまえばありきたりなプロットに思えてくるが、それぞれ「面白く読ませる」という調理の仕方が抜群に上手い。特に『救助よろ』に関しては、物語の世界観とその肉の剥ぎ方が上手く、語り手によってこうも多彩になるのかと感嘆した。

ずっとTRPGをしたいな~と思っているんだけど、キーパーが出来る人が友人に1人しかいないので中々出来ない。じゃあ自分も出来るようになっておけば、私の都合を主軸に開催できるな~と思ったので勉強を始めた。

TRPGって何かぼんやり知ってるけどどういうモンなの?というレベルの初心者に読みやすく、易しく(優しく)解説してくれている。ただ、読めば読むほど、「キーパーから入るTRPG無理じゃない?」という気持ちにはなる。少なくともプレイヤーとして数回遊んでコツを掴まなければキーパーをするのはちょっと無理がある。というのは、そもそもTRPGというのは「プレイヤーとキーパーがインタラクティブに遊べる」が一番の魅力なので、インタラクティブ...つまりキーパー側の柔軟性を鍛えておく必要がある。こればっかりは一人で鍛えられるものじゃない(少なくとも初心者は)ので、やはりもう少し遊んでみる必要があるかなぁ...という感じ。

とはいえ、プレイヤー側も遊ぶには遊ぶなりの流儀(マナーではなく様式美のようなもの)を守ることで、お互いに楽しくなるということが分かってよかった。

映画

 良い映画だった。

このパッケージの写真に居る老夫婦がニューヨークの眺めのいい部屋を売ろうとするってだけの話で、それ以上何も謎はないし突飛な登場人物も出てこない。そこがいい。「家を売る」という人生の大きな決断を通して、老夫婦の歴史や決断に至る性格、未来への考え方、愛情、価値観が見えてくる。内覧会で必ず会うおませな女の子や、住民の気がかりなテロ疑惑事件など、話を牽引するための副要素も上手く、退屈せずに90分見ることが出来る。

視覚的な情報ってかなり感情に対して直接的で、疲れているときに重厚なストーリーや愛憎劇を見るのって神経に悪い。感情をそんな乱暴に振り回されたくないのだ。そういう時に丁度いい映画。

その他

MOWのヨーグルト味は美味しい。買ってよい。