4月のこと(上)

4月が始まった。

最近出来たばかりの大きな図書館へ行って上機嫌だ。システムも新しくて便利だし、本も綺麗で沢山あるし、本棚だって見やすいし、ウッヒョ〜〜最高!半日が簡単に溶ける。嬉しくなって山ほど本を借りてきた。小説も好きだけど、最近はノンフィクションの方が多くなってきた。これは単純に、新しいものを見つける為の時間とか労力が無くなってきたからで、音楽なんかももう暫く新しいものを聞いていない。(自分に合う)面白い小説を見つけるのはかなり労力がいるけれど、科学や歴史や料理は、事実そのものがまず面白いのでマッチングでの失敗が起こりにくい。

 

本は良い。身に積もる知識によって世界にレイヤーが増えてゆく。上手く生きられない人ほど本を読む。世界はどんどん鮮やかになるが、上手く生きることは出来ない。

 

 読書

小型哺乳類館

小型哺乳類館

 

かなりオススメ。

何かぼんやりとした核心の周りを、衛星のようにぐるぐる回って最後まで何処にも行けずにただ終わるだけの物語の数々。物語に引き込ませる冒頭のキャッチーさは素晴らしい。また、この手の中身の無い物語は締めが雑になり、読了感が濁りやすいものだが、独特の空虚さが物語からの離脱を上手く支えているため読了感は悪くない。(別に良くない所がミソ)

現実的で突飛な世界観のなかに馴染みのある退屈さが上手くブレンドされており、「毒にも薬にもならなかった」という読了感が得られる。読んでも読まなくても精神に何の影響もない、世にも珍しい噛みごたえのある無味の小説だ。

 

個人的には「実在のアラン・ガス」と「追ってご連絡差し上げます」が好き。

ハンバーガーの発想と組み立て

ハンバーガーの発想と組み立て

 

お値段2500円、A4サイズの大判で200頁というかなりしっかりした本。

見かけと値段相応に、中身もかなりしっかり作られている。ただのハンバーガーレシピ本ではなく、これから個人ハンバーガー店を開業しようとする人や、こよなくハンバーガーを愛する人向けの本だ。ここで言うハンバーガーは、ファーストフードとしてのハンバーガーではなく、所謂グルメバーガーの事を指す。

 

ハンバーガーは肉料理である。専門外の飲食店からは、バンズにハンバーグを挟んだらハンバーガーと理解されがちだが、ミートパティとは単独で存在し得ないものであり、バンズ・野菜・ミートパティの合体よって初めてハンバーガーという完成品となる。素材がそれぞれ主張しあうことで完成するサンドイッチともまた違っており、ハンバーガーはそのハーモニーによって完成となる料理なのだ。

…と熱く語られている。

 

ハンバーガーのビルド(バンズやミートパティ、野菜などを積む順番のこと)や、各パーツ食材のこだわり、考え方、来店ピーク時の保存方法からサイドメニュー考案まで詳しく書いてある。オリジナルバンズを焼くパン屋の裏側から、トマトの輪切り直径サイズの考え方、レタスの積み方、ビルド順の違いによる味の違いなど、読んでいて中々面白い。もちろんビルド例もあるので、お家でのハンバーガー作りの参考にもなる。自家製コンビーフやベーコンの作り方も載っているんだけど、肉の単位が3kgとかなんだよね。

巻末に載せられたハンバーガー界のレジェンド達による座談会も面白い。

ハンバーガーは「料理」である、と知るに充分な一冊。

やまだ眼

やまだ眼

 

 確かに日常の些細な見逃されるべき違和感を生きたまま掬い出していて面白い。その解説も見事だと思う。

でもね、これね、Twitterなんだよな。これと同じことを一般人(アルファツイッタラーと呼ばれていた人達)なんかがやっちゃって、そのセンスでライターになっちゃったりして、もうこの「やまだ眼」ってセンスは全然凄くなくなっちゃった。Twitterの日本サービス開始が2008年で、この書籍が2007年2月刊行だから時代を先取りしている。それを前提にすると、その違和感を書き留めたこと、「世に出そう」と形にした点は慧眼たるや…という思いなのだが、残念ながら現在ではもう面白味のない本になってしまった。

無責任の新体系 ──きみはウーティスと言わねばならない

無責任の新体系 ──きみはウーティスと言わねばならない

 

この時代における責任とは何だと考えられているのかーーーという社会学の本。

そうか、社会をこういう風に定義し分析する視点もあるのだ、と思い出した。こういう本を読むと、世界を見る目が細分化されていく。ただ、その細分化を楽しめるかどうかだと思う。自分は、社会学とか現代哲学?って分野にあまり興味が無くてフ〜ンという感じでした。昔、東浩紀とかも読んだけど、延々と正解のない意味の分解と言葉の構築をしている辺りがどうにも疲れてきちゃう。

「地図感覚」から都市を読み解く: 新しい地図の読み方

「地図感覚」から都市を読み解く: 新しい地図の読み方

 

別に何も読み解いていなかった。

「(建物である)色の密集はそこが発展している場所であることが分かります」とか「道路が直線なら区画整理されたりした新しい街」とか当たり前のことばかり書いてある。んーそれが当たり前じゃない層に向けた本なのか?

でも「縮尺不明で距離感が掴みにくかったら、載ってる小学校何個分か考えると徒歩距離が掴みやすい」は小技として良いこと知ったなと思う。Google MAPをピンチイン/アウトしてると段々分からなくなってきますし。あとはホームの長さで路線や駅の規模が分かるってのは面白い視点でした。そうだよな、ホームも正しく縮小してるもんな。

とは言え、副題(新しい地図の読み方)から期待される程の情報は無く、残念だった。

 

映画

別記事にしたのでリンクから読んで

猟奇的な彼女 - 千年先の我が庭を見よ

その他

この素晴らしい世界に祝福を!(アニメ)

勧められて見た。

とびきり元気アホ女の子(女神)と爆破大好きアホ女の子(魔女っ子)とドMアホ女の子(騎士)と苦労系ツッコミ常識人主人公による、ぐだぐだアニメ。頭からっぽで楽しめる。全員等しくアホで、ともすれば女神が無用なキャラになりがちなのだが、「他にもアホはいるけど突き抜けたアホ」という主キャラ内でのアホ格差を生み出すことにより、一キャラとしての座を確立させている。また、魔女っ子にも中二病っぽい設定があったり、騎士もポンコツだったりと残念設定があるのだが、それよりも女神のアホさが悲惨なので、相対的に見ててイタくならない。(勿論、そうならないようにそもそも薄めの設定ではある)この女神の突き抜けたアホを土台にして、全てのメインキャラが良い具合にキャラ立ちするようになっている。各キャラのアホレベルの調整が神懸かっている作品。

 

ミミまでやわらかい食パン(パン)

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最高に美味しい。買いに走れ。

スーパーマーケット 株式会社バローヤマザキ製パンの共同開発による4月1日発売の新商品。バローにしか売っていない。そして共同故にバローのHPにもヤマザキのHPにも商品として載っていない…。

ヤマザキには既に、ミミまでふわふわをウリにした「ふんわり」という商品があるが、そちらは乳酸菌を入れたことにより、多少の生臭さが感じられる。(気にしないという人も多そうだが)確かにフルーツサンドにするには理想的なパンであったが、それ故にトーストするとあまり美味しくない、また生食(トーストせずに食べること)でも甘みと油分を足さないとパン本来の味の角が取れないという欠点があった。

しかしこの「ミミまでやわらかい食パン」は、本当にミミまでふわふわでありながら、味の角がなく、パサつきもない上に焼いても美味しい。今まで生でトーストでも美味しいパン(両者のバランスが取れた食パン)の一位はロイヤルブレッドであったが、とうとうその王座を譲り渡す時が来たようだ。120円くらいで買えるのも日常使いのパンとしては理想的だ。明日からお前の家のパンはこれにしろ。