攻殻機動隊SAC S.S.S

観て来ました。初3D映画ですよ。
映画自体はおそらくテレビアニメを全話見た人を対象としているんだなという作り。勿論一言で言えば面白かったです。ただ、唐突に物語が始まっていくつもの線が絡み合うので、理解が追いつき難く、これはDVDなんかで何度も見ないと全体把握しにくいかもなぁといった感じ。
以下ネタバレ注意ですの。


★3D
・電脳空間の再現は見事。OPやハッキングシーンは非常にわくわくした。
・初3Dの感想としては、飛び出すというよりは奥行きがあるって感じなのだなぁと。見た目はクリアフィルムのレイヤーを何枚も重ねて立体的に見せるっていう絵と同じ感じ。だから時々、アニメ映像(人・物)と背景映像の間に下手なフォトショップ加工のような違和感があった。まぁ、CG映画よりは断然脳に馴染む。

★内容
おそらくテーマだと思われるものは
・老人の孤独死
児童虐待への行政介入の難しさ
外国人参政権
といったところだろうか。テレビアニメからの続き?ということで難民問題にも絡んでくるところはあっただろうが。


★謎?
1.Solid State Societyとは
直訳は固体状社会となる。劇中でも言われる「ソリッドソサエティ」という言葉はおそらく、子供の誘拐から老人の子としての住民台帳改竄までを指すシステム名かと。そして何が「固体状」なのかと言われればそれは、そのシステムそのものの姿であろう。「あぶれたものを空いた穴に埋め込む」というシステム。固体というのは分子がぎゅっと詰まった状態のことであるから、つまり
  (違う)親が欲しい子供に、子供が欲しい親(老人)を与える
という相互補完の様を固体と見立てたのではないかと思う。
現実では、道徳や感情があって成し遂げられないことをデータ上や電脳世界だからこそパズルピースのように穴も余りもなくしてしまう。そういうぎゅっと詰まった無駄のない社会がsolid state societyというタイトルの意味する所だと考えた。


2.傀儡廻しとは何だったのか
 犯人が最期に素子に話しかけていた内容から、おそらくリモート登庁していた彼を素子が何度かのっとって?色々してたんじゃないかなぁと。それで、そこに残っていた素子や、犯人(生身)の残留思念みたいなものによる暴走が正体じゃないのかと。
 一つ気になったのは、最初の方で荒巻やトグサ、イシカワなんかが「ここに来なかったのだ」と言いながら突入し、死体を発見したシーン。あのシーンで、おそらくもう電源やプログラムは作動してないであろうに、5体くらいの女性介護ロボットが微かに動いていたこと。9課のメンバーは誰一人として気にしていなかったけど、何だか妙にその様を映すなぁと思っていた。個人的な見方では、つまり「人間の監視下になくともロボットが独立で動く」ということを暗示していた伏線の一つだったのかしらん、と思った。
 それから、度々監視カメラで映されるあの視点は、SSSの視点だろう。9課の人間しかマークしていないことからアレが「素子を探していた」という言葉の裏づけかと思われる。

自分のまとめとしてはこんな感じ。
ストーリィのもつテーマ性の重さや、音楽の素晴らしさ、アクションの鮮やかさなんかはテレビアニメのクオリティそのままですね。
3Dになったことで電脳空間がより直接的にイメージできるようになったので、感情移入というか、感覚理解が得やすくなったところが違いでしょうか。
うーんもう一回くらい見たい。