戦場のピアニスト

戦場のピアニスト [DVD]
戦場のピアニスト - Wikipedia
映画は基本的に、一般的な評判を気にせず自分が観たいと思ったものを観る(友人から薦められて観ることが多い)。しかし珍しく、所謂「大作」と呼ばれているであろう映画を(要はミーハーで)観てみた。

観終わった後の第一声は
ピアノ全然弾いてないじゃん

戦場のピアニスト」というから、戦場でピアノを弾き続けた話かと思ったら、ピアニストが戦場にいる話でした。まずもって、戦場といわれると前線のイメージが強い。砲火に塗れる都市は戦場とは呼ばないと思っていたので、ひたすら主人公ピアニストが逃げているのを観て、やはり少しギャップを感じた。多分、邦題が悪い。(とはいえ「戦渦のピアニスト」では少々伝わりにくいか)
まぁ実体験を元にしているというから、無駄にドラマチックな展開があるわけでもなく、ナチスドイツのポーランド侵攻下におけるユダヤ人やポーランド人の扱われ方、時代背景などを観る分には悪くなかったかもしれない。
しかし、時折挟まれる1939年、といった年表記で時が流れているのはわかるが、正直何年経ったかなんてイチイチ気にしてみていられないので、「主人公はこんな過酷に何年も生きてますよー」というのが淡々と進められていくだけで、「わぁ大変」くらいの気持ちしか沸いてこない。感情移入できないのだ。

しかも、ピアニストという割に、そこまでピアノ弾きたくて堪らないという情熱が別に伝わってこない。っていうかこの映画ピアニストが主人公である必要あったのか?
最後に、ようやく(映画の終わる30分前くらいで)主人公はピアノを弾くわけだが、栄養失調で、缶詰もまともに開けられず、足や指先が震えている人間が即座に何十年ぶりにピアノをすらすら弾けるってちょっと現実味がなさすぎるだろう…。その後の演奏を聴いたドイツ軍人とのやりとり、主人公の行方も含めてイマイチ腑に落ちない映画であった。日本人的な「ハッピーエンド(情けには情けをみたいな)」を望んでいたというわけではなく、結局何がしたかったの?(監督は)という意味である。
実体験を映画で伝えたかったと言われればそれまでだが、それにしても「時代の出来事を知る」以上のものがこの映画から読み取れるとは思わなかった。久しぶりに納得のいかない映画。