パンズラビリンス/レインマン

パンズラビリンス
レインマン
映画を二つほ(ry



何をしているのかと言われても映画を見まくって本読みまくっているんですよ。

冬が来る前に沢山食べておかないと、みたいな。

※閲覧注意な画像があるかもしれません。
いや、画像はあるんですけど閲覧注意かもしれません


ダークファンタジーダーク。
最後のダーク部分は現実のダーク。

結論から言えば、最高に面白かった。
DVDパッケージはるんるんファンタジー溢れる感じだが、実際の所はダークファンタジー色が強く、おとぎの世界の住人も子供が喜ぶような妖精といった感じではない。虫とか。虫だ。

←マジでこんなんでてくるからね…

だからフワフワしたファンタジーを期待すると、肩透かしをくらうかもしれない。若干のホラー・グロがある。ただ、CGの違和感が全くなく、少女を中心とした「空想の世界」感が出ていて非常に良い。

少女を取り巻く現実の環境のダークさも、「おとぎの国」に逃げ込みたい(信じたい)少女の内心を上手く描いており、そういった背景が更にファンタジー部分を際立たせている。


ラストまで、「どういうオチでくるか」のわくわく感がある上、ラストもきちんと納得できるようなオチ。

ただ、欲を言えば、こういった曖昧ファンタジーにおいては解釈の余地を残したほうが面白かったのではないか、と思う。勿論、映画のラストが一つの解釈しか考えられないわけではないのだが…
自分としてはラスト3分前くらいに終わって欲しかったな、と思った。

現実にある不条理さと、おとぎの世界特有の不条理さ、それぞれ全く質の異なるものだが、どちらも少女を巻き込もうとする。ぐいぐい引き込まれていく。雰囲気もストーリィも抜群だった。
雰囲気はエコールに似たところがあるかもしれない。

ダークファンタジー好きには超オススメ。

あと、あのパンが私の星座の元となった牧神か…と思うとわくわくした。

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レインマン
気付いたらラストで泣いていた。こういう、「なんで自分が泣いているのかわからないけれど涙が自然に落ちてきた」みたいな感動の仕方は好きだ。理屈を超えた良さがある。

全体を通して、兄弟愛というよりも、「きょうだい」というものの在り方を見た気がした。
兄弟間にある愛や信頼というよりも、兄と弟というそれぞれの特性というか性質が描かれているように思えた。
結局、兄は弟に対してどこかで「上としての保護役、使命感」があるし、弟は弟でどこか甘えのようなものをもっている。それが兄に対して甘えるという意味だけではなく、社会への甘えといった意味でもある。
きっとこの兄弟の役が逆だったなら、話はまるで違っていただろうし、こんなにも感動しなかったのではないかと思う。最終的に弟は「なぜ兄がいることを誰も教えてくれなかった!」と憤るが、これが逆だったなら、きっと「なぜ弟がいることを誰も教えてくれなかった、そして何故俺は彼を守ってやれなかった!」になってしまい、話が大きく変わってくるだろうなと思った。

後から登場人物たちの台詞をよくよく噛み締めて、「なるほどなるほど」と物語全体が味わえ、兄弟それぞれの進歩が見えて、とても良かった。ラストの弟の、泣いているような笑い顔のシーンが素晴らしい。
このロードムービーとして進んでいく話の構成も、自分の性に合っていたのかもしれない。
時間が流れるのが分かるような映画が好きだ。


観終わって暫く、感想の言葉が出てこなかったし、今でも上手く言葉にできているとは思えない。


最近思うようになったのは、映画って多分本よりもずっとずっと長い年月と労力が掛けられているだけあって、観終わった後の受け止めた重たさが本よりズッシリくる、と言うこと。
全ての作品に言えることだとは思うけれど、作者がその作品に賭してきた意思や人生観が作品を通してよく見える時ほど、終わった後に言葉が出てこない気がする。
多分、そんな簡単に言葉に出来るようなレベルのものを、孕んでいないという意味なのかもしれない。扱うテーマの大きさもあるかもしれないが、やはり、ミリオンダラーベイビー(映画)や模倣犯(小説)なんかを見終わったときも、すぐに言葉にできなかった。


そういうのはきっと、語彙力不足とか、文章能力の有無ではなく、単純に”言葉に出来ない”感動なのだろうな、と思う。
「うまくいえないんだけど、凄く良い」
というのはある意味、最高の褒め言葉なのかもしれない。